2021.1.13~14 厳冬期石鎚山面河ルート

メンバー:自分、H石、M田

コースタイム

2021/1/139:30面河渓駐車場発
 9:55-10:00面河登山口
 11:23-33霧ヶ迫
 12:49-13:48面河山🍙
 15:51愛大石鎚小屋着
2021/1/147:00愛大石鎚小屋発
 10:00シラベの水場
 11:15-55弥山🍙
 12:30シラベの水場
 13:37-14:31愛大石鎚小屋🍙
 15:55-16:11霧ヶ迫
 17:08面河登山口
 17:29面河渓駐車場着

 前回の瓶ヶ森に続いて、ワンゲル休学組で雪山に行くことに。年末年始の寒波で雪もだいぶ積もっただろうと、ついに大本命の石鎚・面河ルートへ。3人とも初ラッセルで思いのほか体力・時間を消耗したが、天候に恵まれ満足度の高い山行になった。

【1日目】2021/1/13(水)晴れ時々曇り

 目覚ましを1時間間違えて6:30にセットしていたが、5時半に無事目が覚める。10分遅れの6:10にレンタカー店に着いて、H石、M田と合流する。松山インターのマクドナルドで朝マックを買って車内で食べる。コーヒーを飲むが便が出る気配なし。

 三坂峠の長いトンネルを抜けるとそこは雪国だった。久万のローソンで食糧調達してから雪道を面河方面へ向かう。9時前、面河渓に着く。車なら亀腹岩の駐車場まで入っていけるので良い。(バスだと博物館横のバス停から1時間ほど歩く羽目になる)

 9時半、いよいよ冬の石鎚に向かって出発する。
 H石とM田はチェーンスパイクを付けるが、自分は軽アイゼンしか持ってこなかったのでとりあえず登山靴だけで進む。面河渓の遊歩道には5cmくらいの新雪が積もっている。薄氷の張った下・上熊淵を見ながら進む。

 10時前に面河登山口に着いて、ここから本格的な山登り開始。
 面河ルートの最初は結構な急登だが、気温が低いのでバテない。また、四国の登山道では珍しく、登り口から天然林なので登っていて楽しい。やっぱり、山は冬、石鎚は面河ルートである。

霧ヶ迫で小休憩。夏場は水場だが、今は雪の下にちょろちょろと水が流れるのみ。ここで自分は軽アイゼンを装着する。

霧ヶ迫からもうひと登りして支尾根の東側へでると、石鎚山の軟先鋒の尖った岩肌が見え始めた。眺めが良さそうだから、ということで登山道から外れて面河山へ寄る。この登りが意外と雪深くきつかった。

 13時前に雪深い面河山頂上に着いて1時間ほど昼食休憩にする。期待していた二ノ森方面の眺めは木の枝が多くたいしたことなかった。
 さて、厳冬期に面河渓から石鎚山頂を目指す場合、西ノ冠岳直下をトラバースする夏道は雪崩や滑落の危険があるため尾根上の冬道を通るのがセオリーとされている。すなわち、面河尾根ノ頭(1866mの独立標高点)まで面河尾根上を進んで、二ノ森方面への縦走路へ合流し主稜線を経て面河乗越へ至るというものだ。
 しかし、自分たちは夏道上に建つ愛大小屋に泊まる予定なので(この時点では僅かに二ノ鎖小屋まで行くという案もあったが)尾根上の冬道で行くと愛大小屋へは遠回りとなる。3人で相談した結果、時間に余裕があるから明日の練習もかねて尾根道を進み、遠回りにはなるが、途中で愛大小屋へ斜面を下ることにした。

 面河山からしばらく尾根上を進むがそこそこ風が強く寒い。さらにH石が腹が冷えて下痢をする事態が発生。尾根経由で愛大小屋へ行くには、さらに300mほど強風の尾根を登る必要があった為、進路を変更しやっぱり夏道で行くことにした。

雪の斜面を5分ほど下って無事、夏道へ帰還。夏道は面河尾根の北東斜面を通っていて、それまでより積雪が一気に増えていた。

ひざあたりまでの新雪をラッセルしながら愛大小屋をめざす。木道やはしごが雪に埋まっていたりして結構危険だ。

普段の2倍くらいの時間と体力を要して16時前、愛大石鎚小屋に到着(扉が少し雪に埋まっていた)。余裕があると思っていたが、ちょうどいい時間になってしまった。

 この愛大石鎚小屋は、何泊もしているが積雪期は初めてだ。雪のため石鎚山の眺めがさらに良くなっていた。日没までテン場のあたりで写真を撮影したりする。
 小屋に戻ると、H石とM田が薪ストーブの着火に成功していて室内が1月の避難小屋とは思えないくらい暖かくなっていた。火は素晴らしい。暖かいし、濡れたものも乾かせる。これで先月の瓶ヶ森のような極寒はなさそうだ。

夕飯は鍋&うどんである。瓶ヶ森の反省を活かして今回はちゃんと野菜ももってきたのでとても美味しかった。自分はビールとウイスキーを飲む。ストーブのおかげで小屋が暖かいのでビールがうまい!

 鍋を食べながら、明日のルートを話し合う。とりあえず尾根上の冬道でいこうということになったが、果たして尾根に這い上がれるのか?
 22時前に寝る。備え付けの布団も使わせていただく。室内気温は6℃と暖かいので1回しか目を覚まさない快眠だった。

【2日目】2021/1/14(木)曇り後晴れ

 4時半に起床、室内気温3℃。
 朝飯のチキンラーメンを作って食べる。が、これは失敗だった。自分は山でカップラーメンやうどんを食べるとき、水は控えめにして作るのだが、チキンラーメンの場合、水をケチると味がかなり濃くなってしまった。さらにもう一品として缶詰を食べていたので、塩分過多で浸透圧が上がりすぎたみたいに気持ち悪くなった。

7時前、あたりが明るくなったのと同時に行動開始。はじめ、昨晩決めた通り、テン場の裏から尾根に這い上がろうとするが、急登&雪で早々に「これ、無理やろ」と断念。結局、「新雪だし、大丈夫だろぉ…」と夏道で行くことにした。

雪はさらに増えて、谷では1m以上積もっていて腰上まで埋まるほどだ。トレースは無く、先頭はラッセルで体力がいるので3人で回しながら進む。急斜面に取り付けられた木の桟橋は雪で埋まり、トラバースに時間を要した。

最も雪が多く急斜面である愛大小屋から笹原に抜けるまでの樹林帯を、2時間半かけてようやく突破する。9時半頃、笹の斜面にでると積雪は多少減った。また、谷のトラバースがない直線な道になりペースも少し上がる。

10時、シコクシラベの水場を通過。夏場のコースタイムは50分のところを3時間要した。

10時半過ぎ、二ノ森方面への縦走路と合流し面河乗越に着く。期待していたトレースは無し。本当は、10時半になった地点で引き返す、ということを決めていたが、ここまで来てしまっては誰も引き返そうとは言い出せず。「登山口から駐車場までは最悪真っ暗でもいけるし…」とか言って山頂へアタック。

面河乗越から弥山までは北側のトラバースになり、斜度も急で積雪も多く最も危険な区間だ。実際、何年か前にもここで死亡事故が起きている。腰までの新雪をかき分けながら11時過ぎ、なんとか成就ルートに合流。合流の手前の、ロープが張ってある斜面は雪が凍っている部分があり神経を使った。3人ともピッケルを持っていなかったのでロープがなければかなり危険だっただろう。

成就ルートに合流してからは崖に取り付けられた階段を慎重に登っていく。階段は一部埋まっていて、さらにその部分は圧雪だったので、軽アイゼンでは結構緊張した。最後の階段を登りきると、凍り付いた頂上山荘の石垣があらわれた。この頃になるとガスも晴れだして青空がみえた。

11:15 ついに弥山に着いた。個人的には、どっかの処女峰か冬季未踏峰にでも登ったような、かなりの達成感があった。

頂上の冬季シェルター内で昼飯を食べる。かなり体力を使った。H石曰く、今までの山行で最もきつかったらしい。山頂では日が差し、風もあまり強くなかった。白くなった天狗岳の雄姿も見れて満足。

集合写真を撮ってから、11:55下山を開始する。面河乗越まではやはり神経を使ったがそれでも、登りよりかはだいぶ短時間でいけた。やはり、トレースがあるのと無いのでは大きな違いだ。

二ノ森方面はさらに雪が多そう
これは西ノ冠岳
石鎚山南側

南斜面の面河ルートに入ってからはさらにペースが上がった。天気も良くなり、西冠や二ノ森の銀嶺がかっこよく見えた。

13時半過ぎ、愛大小屋に戻ってきた。登りのタイムが4h15mで、下りが1h42mだったのでだいぶ差がある。小屋にデポしていた荷物を回収したり、備え付けのノートに記入したりする。

14時半、愛大小屋を出発。この直後に、自分のゴミ袋がザックから外れて面河本谷へ滑落してしまった。しっかり結んだつもりだったが、やはり外付けでは甘かった。反省。

今日は日中、暖かく。愛大小屋以下の雪は重たくなっていた。尾根から、南側の斜面へ下ると、雪はだいぶ溶けて地面が露出している箇所がみられた。

 16時前、霧ヶ迫着。自分はここでアイゼンを外すが、少し外すのが早かったようでこの後残雪で滑りそうでヒヤヒヤした。17時過ぎ、登山口を通過。明るいうちに降りてこられて一安心。あとは面河渓の遊歩道を歩いて17時半、駐車場に帰還。10時間近くの山行が無事終わった。

 車でガサゴソやっているうちに辺りは暗くなり結構ギリギリだったなと実感。久万のコンビニでコーヒー休憩。雪はまだ少し残っていたがほとんど溶けていた。三坂峠を下って、松山市内の温泉へ。露天風呂で寝っ転がりながら無事帰ってきたことを実感。

 自分にとって冬の石鎚登山とは、四国の(もしかしたら西日本の)一般登山において最も難易度の高いもの、という認識であった。なので、(曲がりなりにも)愛大ワンゲラーとしては学生のうちになんとか登ってやりたいと思っていた。
 雪質や天候など、多くの幸運もあって、初めての挑戦で弥山まで登ることが出来た。このことは自分にとって大きな意味をもつことであり、とても満足度の高いものとなった。
 なにより、冬の石鎚に、お気に入りの面河ルートを使って登頂できたということが、ことさらに自分にとっては嬉しいのである。冬の石鎚に登る登山者のほとんどは成就ルートからの日帰りであるから、この記録は石鎚登山全体からみてもけっこう貴重なものなのではないかと思っている。

反省

・ザックが小さすぎた
・シュラフが濡れた→シュラフをビニール袋に入れる
・装備不足→ピッケル、かんじき→新雪じゃなければピッケルは必須だろう。かんじきは?
・面河ルートの冬道について→愛大小屋に泊まる場合、どうやって尾根上の冬道に行けばよいのか?→知ってる方教えてください
・チキンラーメン辛すぎ→山に不向き也
・ゴミ袋を落とした→大きめのザックを用意して中に入れる

←お山の記録一覧へ戻る

コメント

  1. 厳冬期の面河ルート、この記録一般公開することに疑問ですね。
    無事下山しているからよいものの、その記録を見ると冬のルートとしては危険なところ往復していますよね。
    面河山から愛大小屋間はいくつものルンゼがありますね。厳冬期に夏道を行き、君らも相当難儀して小屋についています。雪崩、滑落の危険有りで冬ルートとしてはリスク高い、取るべきルートではないはずです。(前回は面河尾根から小屋にいっているではないですか、)愛大小屋があって面河ℛ-トは登山道整備もして自分んらの庭のように考えていますが冬はさにあらず、このルートで冬に石鎚山を往復した記録、自画自賛していますが仲間内だけにとどめるべきです。
    登山アプリ、ネットの普及で一般登山者が見る機会が増え、記録をもとに出かけている様子がうかがえます。年末の寒波前に22日に単独で面河ルートに行った53歳の女性が行方不明になっています。石鎚山の頂が見える場所までは足取りがわかっていますが、その先でアクシデント?
    私も冬の面河尾根が好きで出かけています。いつか遭難があるのではと危惧していましたがついに起きてしまいました。残念です。

タイトルとURLをコピーしました