メンバー:自分、N野、K室
いきさつ
自分が劒澤へ入山するくらいに、N野から「9月前半で表銀座の合宿をやるんで来ませんか」と誘われた。詳しく聞くと、E大ワンゲルの合宿(今年はコロナでモグリ扱いになるが)で表銀座の企画を立てたが、1年生の女の子一人しか集まらなかったらしい。
自分は毎年北アルプスのどこかしらへ行っている(というか夏は殆ど北アにしか登ってない)が、自分を北ア信者にしたキッカケのひとつは、大学1年生の時に先輩らといった表銀座の夏合宿だろう。燕から見た北アルプスの奥深さとか、ゴールの上高地の森の美しさなんかは強く印象に残った。
正直、今年の9月は、もっとマイナーで険しい所へいきたいと思っていた。が、自分にとって思い入れのある表銀座へワンゲルの後輩と行くのも、自分の山行歴のなかでひとつ重要な意味を持つんじゃないだろうか、と思い参加を決めた。(と偉そうなことを書いているが、予想以上に厳しい山行になり2人にとても助けられたのだった)
半月滞在した富山県の劒澤から、アルペンルートを使って信州側へ下山し、安曇野の兄の家(以下:ベースキャンプ)に前日まで居候する。
前日の9月5日、松山から夜行バスと18きっぷを乗り継いでワンゲルの2人がやって来たので松本駅へ迎えに行く。ベースキャンプにて前夜祭?、装備振り分けをする。2人を北松本のホテルへ送り返して、パッキングをしてから24時過ぎに寝る。
9月6日(1日目) 中房温泉→燕山荘、燕岳
8:00 | 燕岳登山口発 |
8:30 | 第一ベンチ |
8:53-58 | 第二ベンチ |
10:35-58 | 合戦小屋 |
11:58 | 燕山荘着 |
少し寝坊したので兄に最寄り駅まで送ってもらう。大糸線の車内にて集合する。穂高でバスに乗り換えて、中房温泉へ向かう。
8時、燕岳登山口から登り始める。標高が上がるにつれてガスってくるが、雨さえ降らなければ涼しいので個人的に良い。
みなさん体力があって、コースタイムの2/3くらいで合戦小屋まで登る。ガッスガス。
12時前、燕山荘に近づくとガスが一気に晴れた。が、黒部源流らへんに真っ黒な雲があったので急いでテントを立てる。
今回の合宿のテントは、N野が松山から持ってきてくれたステラリッジ3とドマドーム(私物)だ。一瞬雨がパラついたがすぐに止んだ。
その後、燕・北燕岳までのんびりピストンする。白い岩が独特な雰囲気を出している。明日以降歩く稜線とか安曇野の眺めが良い。
17時くらいから、ステラ3内で夕飯のトマト鍋を作る。牛肉600gも持ってきたので食べきれるか心配だったがすんなりといけた。トマトを豪快に鍋に入れる。
食後、暗くなってきたので寝る準備をする。N野はカメラで熱心に星を撮っていたが、自分は寒くてステラ3でシュラフに引きこもる(確かに、奇麗な星空だった)。初日だったからか、2時間おきくらいに目が覚めた。
9月7日(2日目) 燕山荘→大天井岳→ヒュッテ西岳
6:38 | 燕山荘発 |
7:33 | 大下りの頭 |
8:55 | トラバース道分岐 |
9:20-10:34 | 大天荘(荷物デポ) |
9:38-10:10 | 大天井岳 |
11:06-11:20 | 大天井ヒュッテ |
13:30頃 | ヒュッテ西岳着 |
昨夜の星空から予想はしていたが、かなり寒い朝だ。素晴らしい雲海で富士山まで見えてる。朝飯はα米、パン、コーヒー
6時半過ぎ、燕山荘のテン場を出発。この日のコースはいかにも稜線散歩といった感じのルートなので晴れてくれて嬉しい。
登山道わきには霜柱ができていて冷え込みを実感する。
燕山荘から3時間くらいで、大天荘がある大天井の肩へ着く。平らな地面と雲海で天国のよう。
大天井岳で大休止する。トレランのおばさん達に写真を撮ってもらう。「今日までは天気最高ですね」と言われる。頭上の太陽の周りには暈(光の輪)ができていて、遥か西に低気圧があることを示していた。
大天井から先は道も細く粗くなり、登山者も一気に少なくなった。また、それまで見えなかった常念岳の特徴的な山容が目立つようになる。
足、腰、肩にかなり疲労が溜まってきた13時半、ヒュッテ西岳に到着。西に槍・穂高、東に常念山脈が見られる展望台みたいなテン場だ。
ヒュッテでビールを買って飲む(このビールが合宿唯一の小屋補給となった without 水)。
夕飯はポトフを作る。人参を入れすぎた感があった(重いから早く消費したかったのだ)。
暗くなってから外に出ると北穂や常念、大天井の山荘の灯りが見えた。風が少し出てきたが、この頃はまだ余裕があった。明日、雨が降り出す前に殺生まで行くつもりで早めに寝る。
9月8日(3日目) ヒュッテ西岳→殺生ヒュッテ
5:32 | ヒュッテ西岳発 |
6:35-40 | 水俣乗越 |
8:05-10:00 | ヒュッテ大槍 |
10:20 | 殺生ヒュッテ着 |
日付けが変わったくらいから、強風がテントを揺らすようになりその度に目が覚めた。
3時に起きて朝食を食べる。3人がステラ3に集まって食べていたら、ザックだけ置いていたドマドームがひっくり返って、グランドシートが二ノ俣谷へ飛んでいってしまった。
雨も予報より早くから降り始めたので今日の予定を相談する。N野は強風の東鎌尾根を心配していた。とりあえず水俣乗越までいってみることに決める。
5時半にヒュッテ西岳を出発する。水俣乗越への下りはかなり急だ。心配していた風は大したことない。
水俣乗越からは基本的には登りになる。雨が徐々に強くなってきた。
8時過ぎ、ヒュッテ大槍に着く。掃除中にもかかわらず室内で休ませてもらえたので有難く休憩する。2時間弱休んで雨が弱まるのを待つが、どんどん本降りになってしまった。
このまま待ってもきりがないし、N野の服が濡れていて早く着替えたほうがよさそうだったので、殺生ヒュッテへ向けて出発する。
10:20 殺生ヒュッテのテン場について、豪雨の中なんとかテントを設営。
あとは、ひたすらテントに籠る。
自分は着替えが少ないので、なるべく服を濡らさないように過ごす。そのため、ドマドームに置いてきた荷物の回収や、トイレにいくこともかなり勇気がいる。
話題も尽きて、昼食も済ましてしまうと、もうやることがない。狭いテントで3人で仮眠する。
自分は小屋に泊まりたかったが言い出せず、後輩2人のどちらかが言い出すのを待っていた。そのまま数時間が過ぎ、徐々に暗くなっていくテントに相変わらずフライシートを叩く雨の音だけが響いていた。
18時頃、夕飯で麻婆春雨を食べる。食べて温まると、なんとなく元気になった。依然として外は大雨だが、諦めに似た安心感みたいなものを感じた。最悪、ヒュッテに避難することも可能なのだ。
何より3人いるのが心強かった。21時くらいまで色々話してから寝る。
9月9日(4日目) 殺生ヒュッテ→槍ヶ岳→横尾
10:45 | 殺生ヒュッテ発 |
11:16-31 | 槍ヶ岳山荘 |
11:55-12:30 | 槍ヶ岳 |
13:00-05 | 槍ヶ岳山荘 |
13:30-14:14 | 殺生ヒュッテ |
14:33 | 播隆窟 |
15:05-12 | 天狗原分岐 |
15:41 | 大曲り(水俣乗越分岐) |
16:25-35 | 槍沢ロッヂ |
17:05 | 一ノ俣 |
17:46 | 横尾着 |
早朝はまだ大雨だったので7時前まで寝る。コンディションは最悪だが、日がたつにつれてよく寝られるようになった。
昨日から、雨雲レーダー、ヤフー天気、気象庁HPと睨めっこしているが、それらによればそろそろ雨は止んでもおかしくないのだ。朝食を食べ終わってもしばらく雨は降り続いたが、9時過ぎくらいから小雨になる。
9時半、強風と共に一気にガスが晴れて、真上に聳える槍ヶ岳や常念山脈が見えだした。
ついに雨は止んだ。濡れたものを外で乾かしながら、テントを撤収する。見渡すと、秋の気配が強い。殺生ヒュッテの方が、小屋内に荷物をデポして良いと言ってくれたので置かしてもらう。
10:45 槍ヶ岳に向けて行動再開。
槍ヶ岳山荘でヘルメットを借りてから、穂先へアタックする。時々ガスがきれて青空が見えるようになる。
11:55 槍ヶ岳に登頂。大雨のビバークを乗り越えての登頂なので4年前に来た時よりも達成感がある。
記念撮影したり、松山の本部?へ連絡したりする。
帰りは東鎌尾根経由で殺生ヒュッテまで下る。なかなか迫力ある眺めだ。
殺生ヒュッテで荷物を回収してから、あとはひたすらカール内を槍沢へ下っていく。
槍沢ロッヂの手前くらいから樹林帯になり、徐々に上高地っぽくなってくる。
槍沢ロッジ~横尾間の槍見河原という所から槍の穂先だけ見えた。今日は尻上がりで天気が良くなった。
17:46 横尾に到着。日没前に着けてよかった。
夕飯は残りの食材を使って打ち上げをやる。合宿もいよいよ明日が最終日になってしまった。
9月10日(5日目) 横尾→上高地バスターミナル
6:49 | 横尾発 |
7:33-54 | 徳沢 |
8:35-42 | 明神 |
9:20 | 河童橋着 |
5時頃起床。明神岳?の朝焼けが奇麗。
7時前に横尾を出発。あとは上高地まで3時間弱の林道歩きだ。
個人的にはこの林道歩きは結構好きである、特に朝は清々しくて良い。(写真は徳沢の奇麗な沢)
9:20 ゴールの河童橋に到着。快晴で絵葉書みたいな景色だ。
バスターミナルで切符を買ってから、待ちに待った温泉へ向かう。
アルペンホテルで日曜日以来の風呂に入り、合宿が無事終了したことを実感する。
11時半にバスに乗って上高地を後にする。先の大雨で線路の橋が傾いたらしく、バスと鉄道を交互に乗り継いで、13時半に松本駅に着いた。
MIDORIにある「松本唐揚げセンター」で打ち上げをやる。山賊焼きが予想以上に大きく、後の行程に影響を及ぼすほどだった。
松本駅内で解散する。2人はこれから18きっぷと夜行バスで松山に戻るのだから、すごいなぁ~と思う。自分は15:30から内定者懇談会みたいなのがwebであったので、お城口でタクシーを拾ってベースキャンプに帰った(大糸線だと、本数が少なすぎて間に合わなかった)。
感想
この山行を全てテン泊で達成することは、自分ひとりだけではできなかっただろう。ソロで山に行くことが多い自分にとって、複数人で行くことの楽しさと心強さを再確認する山行となった。
また、ワンゲルとしてはここ2年間で今回の山行が唯一の合宿になるらしかった(9月後半にもう1パーティー穂高に入る予定だったが地震でつぶれてしまった)。そういった意味でも今回の山行に参加し、無事登頂・下山することができて良かったと思う。
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