題名のとおり、私はビルマのど真ん中・マンダレーの丘の上で無一文になった。とはいっても財布を落とした訳でも、スリに遭った訳でもない。
ことの発端は昨日の朝だった。旅に出て2週間目にして、ようやく持ち金をほとんど使った。バンコクに着いたときカードでとりあえず1万バーツ(約3万6千円)を下ろした。予想以上に支出が少なく、チェンマイで持っていた日本の一万円札を両替しただけで、ヤンゴンへ来れてしまった。この先はマンダレーと、パガンの遺跡群へ行くので、朝飯がてらATMを探した。
街の至るところにATMはあったが、どれもお金を下ろせない。皆スムーズにやってるのに私の時だけエラーになる。下ろせないだけならまだ良かった、AYAバンクの機会で何度も試していたらカードまで吸い込まれてしまった。
後で分かったことだが、英語力がないばかりに、○○までが上限ですがよろしいですか?という説明文の意味がわからずNOのボタンばかり押していたことが原因だった。
けれどもその時はカードが戻ってこないことで呆然として、ATMの前で立っているしかなかった。
すぐに親切なおじいさんが銀行に問い合わせてくれたが、今日・明日は休みでデイ・アフター・トゥモローまで開かないそうだ。それを聞いてガックリしたが、もう2日もヤンゴンで過ごす気にはなれなかった。
宿に戻り事情を話すと理解してくれた。壊れたカメラを担保に支払いも27日にしてもらった。さらに、お金もないのにマンダレーに行くと言うと、同じドミトリーの女性が2万チャット貸してくれた。
こうして25000チャット(約2千円)でマンダレーに行くことになった。当然これだけではパガンまでもたないのは十分に分かっていたが..。
こんな調子なので、マンダレー行きの汽車はアッパークラスではなくオーディナリクラスにした。これなら400円程度で東京-大阪以上の距離を移動できてしまう。破格である。それに向かいに座った親子が親切で、お菓子に水に夕飯に、硬い座席で寝るためのゴザまで買ってくれた。何よりも3歳の男の子が人懐っこくて可愛らしかった。車内には他にも子どもが沢山乗っていて、日が落ちる頃にはお互い仲良くなって走り回っていた。母親も止めることはなく、他の子どもと一緒にお絵かきをしていて、車内全体で子どもたちを世話しているようで何とも心温まる光景だった。そんな車内に一晩身を置けただけでも満足だった。パガンに行けなくたって良いではないか、そんな風にまで思える夜だった。
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